第 12 回 センサー

本日の内容


このドキュメントは http://edu.net.c.dendai.ac.jp/ 上で公開されています。

ここで、外部入力として、アナログ入力を受け付けることを考えます。

12-1. Arduinoのアナログ入力

C言語版

Arduino では、初期設定で、アナログポート A0 から A5 までが設定されて いるため、 analogRead(ポート番号)で、アナログ入力値を読み 込むことが出来ます。 これは、0から1023までの値で、 int 型の変数で受けます。

なお、作成したトレーニングキットでは、 A0 から A3 まではディジタル出 力ポートとして使う前提で設計してあるので、 本講義ではA4とA5をアナログ入力ポートとして使うこととします。

アナログ入力ポートとはA/Dコンバータが内蔵されていて、電圧値を読み込 みます。 A/Dコンバータは電圧値を瞬時に数値化できるのではなく、 分解能に応じて電圧値が得られる時間が長くなります。

例12-1


  int val;
  val=analogRead(A4);

光センサー

光センターは光を受けて電気的な性質を変える物質を使用して、光の量など を計測するために使用されます。 電気的性質も様々あり、下記のものがあります。

  1. 抵抗値が変化するCdS
  2. かけた電圧に対して、流れる電流が変化する、光ダイオード、光トラン ジスタ
  3. 光を受けると起電力が生じる太陽電池

CdS

CdSは硫化カドミウムで、光を受けて抵抗値を変える性質を持っています。 抵抗値の変化、電気的な使いやすさなど、最も利用しやすいセンサーのため、 未だに多くの電子工作の教科書でも取り上げられているセンサーです。

但し、非常に有毒なため、特に、破損した場合などの取扱に注意が必要です。 また、廃棄は産業廃棄物として処理する必要があります。 ヨーロッパには2008年以降輸出ができなくなっています。

使用方法としては、10kΩ程度の抵抗と直列に繋いで、電圧をかけると、 繋いだ部分の電圧が変化するので、それをマイコンのアナログ入力に入れる ことで、光の強さを電圧として読み取ることが出来ます。

フォトダイオード

ダイオードのPN接合面に光を当てると起電力が生じ、電圧をかけると電流が 流れるという素子です。 両対数グラフにおいて、照度と流れる電流が直線的に変化します。

I = L α

使用する際は、抵抗とフォトダイオードを直列に繋いで電圧を印加します。 フォトダイオードに流れる電流に応じて、抵抗に電圧降下が生じます。 なお、流れる電流がマイクロアンペアのオーダなので、例えば10[μA] 流れる時に 1[V]の電圧降下を生じさせるには、100[kΩ] の抵抗をつ なぐ必要があります。

光の強さに対して電流が流れるため、精密な測定ができる一方で、光の強さ が指数関数的に増加する時に、流れる電流も指数関数的に増えるので、抵 抗に直列つなぎで計測する場合、計測範囲に注意してください。

フォトトランジスタ

フォトダイオードをバイポーラトランジスタのコレクタとベースに繋いだIC がフォトトランジスタになります。 一定の光を受けるとミリアンペアオーダのコレクタ電流が流れますので、光 の強さの測定というよりは、光によりON, OFF を行うようなものを作るのに 向いています。

但し、コレクタに流せる電流はそれほど大きくないので、電源から抵抗を介 して、コレクタにつなぎ、エミッタを接地します。 そして、コレクタ電圧をマイコンで測定するようにします。 CdSほど自由度はありませんが、安価で、特定の光量でON/OFFするような回 路を作るのに適しています。

太陽電池

太陽電池は光量に応じて起電力を生じる素子です。 一つの素子の起電力は小さいため、多くの素子を直列つなぎとした、面積の 大きな素子として使うのが普通です。 また、普通は、センサーというよりは電池として使用するため、十分な電圧、 電流が得られるような集積度になっています。 大規模な集積度なので、素子としても高価です。

12-2. 実験

実験

半固定抵抗により、可変電圧源を作り、 それを A4 ポートで検出し、得られた10bit の値を0からFまでの値に変換 して LED で表示しなさい。


const byte out7seg[]={6,7,8,9,10,11,12,13,0xff};
const byte pattern[]={
                        0b11011110, //0
                        0b10010000, //1
                        0b11001101, //2
                        0b11011001, //3
                        0b10010011, //4
                        0b01011011, //5
                        0b01011111, //6
                        0b11010000, //7
                        0b11011111, //8
                        0b11011011, //9
                        0b11010111, //A
                        0b00011111, //b
                        0b01001110, //C
                        0b10011101, //d
                        0b01001111, //E
                        0b01000111 //F
};
void setup() {
  for(byte i=0;out7seg[i]!=0xff;i++){
    pinMode(out7seg[i], OUTPUT);
  }
}

void write7seg(byte x){
  for(byte i=0; i<8;i++){
    digitalWrite(out7seg[i],pattern[x]&1<<i);
  }
}

void loop() {
  int val;
  val=analogRead(A4);
  write7seg(val>>6); //10bit -> 4bit
}

坂本直志 <sakamoto@c.dendai.ac.jp>
東京電機大学工学部情報通信工学科